2015年に「パン屋をやってみよう」と思い立ってから、早いもので10年が経ちました。
私の30代は、正直言ってカップラーメンが主食のような時期もありました。新商品が出るたびに同僚と一緒に買っては食べ、「おいしいね」と言いながら楽しんでいました。
でも、ある時ふと、「こんなにおいしい食べ物に、いったいどんな原材料が使われているんだろう?」と気になったのです。原材料表示を見てみると、そこには見たこともないような添加物の名前がズラリと並んでいました。
「なぜ、これほどまでに添加物が必要なのか?」
そんな疑問を持ったことが、私の「こだわり人生」の始まりでした。
気になって、某パンメーカーの商品も調べてみると、やはり20種類近い添加物が使われていました。
それ以降、私はできるだけ添加物の少ない食べ物を選ぶようにしましたが、実際には添加物の“入っていない”食品を探すのは難しいという現実にも直面しました。
そんな中、「だったら自分で、なるべく添加物の入らない食べ物を作りたい」と思うようになり、ひょんなご縁からパン業界に飛び込みました。
「パン作りなんて、きっと簡単だろう」――最初はそんな甘い考えでした。
でも、やればやるほど、パンの世界は奥深く、難しい。
それでも私は、「無添加に近いパンを、誠実に作ってお客様に届けたい」という想いだけは変わることなく、今も貫いています。
パン屋を始めた当初は、“健康志向”が2割、“おいしいパン”という理由が8割のお客様がほとんどでした。
ところが、コロナ禍を経て世の中の価値観は大きく変わり、今では**“健康志向”が8割、“とにかく何か食べたい”が2割**という真逆の傾向になりました。
気づけば10年――。
時代の流れが、ようやく私の信念に追いついてくれたようにも思えます。
ご自身の健康は、ご自身で守るもの。
だからこそ、日々の食事――そしてパンのような“日常の味”を、今一度見直してみませんか?
「本当に体に優しいパン」とは何か、ぜひ感じていただけたら嬉しいです。
天然酵母パン ルバーブ
小室 浩司